香島ハナ × ミウラナオコ パーソナルカラー対談

前回から引き続きの色彩学講師・香島ハナさんと、イラストレーターのミウラナオコさんに、
パーソナルカラーをクリエイティブに活かす方法について対談していただきました!
とても応用範囲の広いパーソナルカラーの世界。その一端を垣間見ることができるお話です。

作品からパーソナリティを予想する

— ナオコさんと初めて会った時に、作品のイメージとの大きなギャップを感じたそうですね?

(ハナ) そうなんです(笑) 作品を見てパーソナリティの予想を、ある程度つけられたりするんですけども・・・・。 でもクリエイターの皆さんって、いろんな人格で覆ってるというか、 自分本来の色とは違うパーソナリティーで表現できちゃう方が多いの で、作品と実際のパーソナリティが違うことがよくあるんです。

— 作品だけをご覧になった時には、どのパーソナリティーと思われたんでしょうか。

(ハナ) カラフルスプリング(春)とか、エレガントサマー(夏)の印象 が強かったですね。 このかわいいキャラクターとか、このイラストみたいな感じは、春とか夏の特徴が出てるんですよ。

— この感じは、ナオコさんらしい世界観というか、多くのナオコファンが期待している世界観ですよね。

(ハナ) でも、実際にお会いしてみてビックリしました。本来のパーソ ナリティは、真逆なんです。 お会いしてみて分かったんですけども、ナオコさんの場合は、自分の軸になるパーソナリティがしっかりあって、その周りにいろんな衣装を纏っている 感じなんです。 これは若い子達に多いような、自分が消えてて、周りに合わせて変身してるのとは違うんですけどね。

(ナオコ) パーソナリティは、ワイルドウィンターらしいんですよ。

(ハナ) お会いした瞬間に、あれ?っという感じで。どのパーソナリティなのかは数秒でほぼ 判定がつくんですけども、実際にドレーピングをしないと正確ではないので、お 会いしたその場では黙ってたんですけどね(笑)

(ナオコ) それで後日、パーソナルカラー診断をしていただいたんです。

(ハナ) ワイルドウィンターには3種類あるんですけど、ナオコさんは、 冬ど真ん中の「ピュアウィンター」でした。

黒と白の和解

(ナオコ) ピュアウィンターだと教えてもらったその日、帰宅した後に描いた絵があるんで す。「黒と白の和解」ってタイトルなんですけどね。

— 診断を受けてみて、何か、新しい発見があったのですか?

(ナオコ) 私は今まで、「真っ黒」の色を使うことって、避けてたんですよ。 黒を使うことが怖くて。 黒のイメージって、闇とか、影とか、ネガティブな印象が強いじゃな いですか。自分の絵の中で黒を強調したり、メインに使うことは避けていたんです。

(ハナ) 実は、真っ黒が似合うのが、ウィンターの特徴なんですよ。もちろん、他にも似合う色はたくさんあるんですけどね。

黒が似合う、ワイルドウィンター

(ナオコ) 黒は、ホントは私自身も大好きな色なんですけど、作品の 中に入れるのはちょっと・・・と思ってたんですけど、ハナさんからパーソナリティの話を伺って、自分の中で変化が起きたんです。それがこの 「黒と白の和解」で表現しているものなんです。

— それはお仕事としてのイラストを描く上での事情もあるのでしょうか。

(ナオコ) そうですね、通常は作品を見てくれる方のことを意識して描くことが多いですから ね。クライアントの要望もありますし、お客さんにどのような印象を持ってもらいたいのかな ど、そういうイメージを汲み取って描きますよね。そういう時には、私に望まれている世界に は、黒はちょっと入る場所が無いというか。

— ご自身のパーソナリティを知ったことで、その感覚に変化が起きたわけですね。

(ナオコ) そうなんです。お客さんとか、作品を見ていただける方の要 望に応えようとすることで、無意識に自分自身の深いところにある声 を止めていたのかもしれないって気づいたんです。 黒は、私自身のパーソナリティとして持ってる色であることを知って、「真っ黒を大胆に使っても大丈夫だよ、自分らしい世界観が壊れることは無い よ」って、なんか開放されたような気がして。 あと、実は自分が黒が好きだってことを、他の人に知られたくなかったかもしれない(笑)

— あー、なるほど、ナオコさんのふんわりしたイメージが変わっちゃうから(笑)

(ナオコ) でも、パーソナリティを知ったことで勇気をもらった気がする。 今までと違う大胆な表現をしてドン引きされたとしても、平気って思えるようになってきたの。 実は数年前から、少しずつ、今までと違った表現の作品を、意識して描くようにしているん です。その方向で良いんだよって、背中を押されたような気がして、また新たな始まりの 予感がするの。

ワイルドウィンターらしい表現

— ハナさんから見て、ナオコさん本来のパーソナリティーが表現されていると感じる作品って、ありますか?

(ハナ) どろんこちゃん(笑)

どろんこちゃん

(ナオコ) やっぱり!?

— たしかにこの作品は、今までのナオコファンからすると、え!?っていう世界観かもしれませんね。

(ハナ) ワイルドウィンターらしい表現なんですよ、この感じが。
ワシリーチェアを作ったことで有名なマルセル・ブロイヤーっていうデザイナーをご存知ですか?

(ナオコ) ワシリーチェアというのは、黒い革を使ったシンプルな椅子のことですよね。

Bauhaus_Chair_Breuer
ワシリーチェア

(ハナ) はい。あの椅子を見ての通り、マルセル・ブロイヤーのパーソナリティもワイルド ウィンターなんですけど、実はそのワシリーチェアがブレイクする前は、木目を使った家 具をデザインしていて、方向性に行き詰っていたらしいんです。彼がバウハウスという 造形学校にいた頃のことなんですけど、彼自身のパーソナリティに合っているのは 無機質なカラー(ワイルドウィンターの色)であることを教えた先生がいるんです。そのおかげでブレイクしたんですよ。

(ナオコ) へ〜!!

(ハナ) 自分自身のパーソナリティを知ったことで、才能が開花したんです。

— ワシリーチェアの成功は、マルセル・ブロイヤーのパーソナリティを教えてくれた先生がいたおかげだったということですね。

(ハナ) 当時、パーソナルカラー研究の第一人者だったヨハネス・イッテン校長が、マルセル・ブロイヤーの担当教官だったワシリー・カンディンスキーを通して、アドバイスをしたんです。彼の才能 が輝くのは、 モノクロや無機質な色彩(ウィンターのパーソナリティ)だというヒントを与えたんです。

— パーソナル・カラーは、教育の現場でも役に立つわけですね! すごい。才能が開花する方法や、タイミングなどは、人それぞれですからね。判断の指標になるものがあるっていうのは、教育者にも、子供達に も良いことでしょうね。

(ナオコ) ほんとですね。迷うことも減るでしょうね。
私は次の個展に向けて、新しい作品を描き始めました。

(ハナ) まさに、ワイルドウィンターの色彩ですね!とってもステキです。 私自身もウィンターのパーソナリティなので、こういう感じ、大好きなんです!

— ナオコさんの個展は2015年8月13日〜16日に開催予定です。ナオコさんの新境地が見られるんですね、楽しみです。
ハナさん、ナオコさん、楽しいお話をどうもありがとうございました。

ミウラナオコ個展「FAMILY」のご案内

日程・・・2015年8月13日〜16日
場所・・・茨城県日立市旭町2-3-14「二等兵」
時間・・・11時―17時
phone 0294-24-0958

Profile

香島ハナ(かしまはな)
現在、複数の大学で色彩学を教えているビューティフルライフアドバイザー。 カラーデザイナー、色彩心理診断士、ネイルスペシャリスト、フラワーデザイナー等 の資格を有する。様々な教育機関での「色彩学」講義を中心に、一般向けにも美容 論やマナー講義、コンサルティングを行なうなど、幅広い分野で活躍している。 ハナ先生のために“ビューティフルライフアドバイザー”という言葉が生まれたほど。 パーソナルカラーシステム (4 シーズン ) の習得は、当時、満足のできるクオリティの教 育機関が国内になかったため、本場アメリカに渡り学ぶ。帰国後は色彩学、12 トーン のパーソナルカラーシステム等の研究を深め、さらにパーソナリティのデータを独自に 調査・蓄積、オリジナルのパーソナルカラー・システムを構築し現在に至る。 一度出逢えた受講生は、“根本的な精神論からルックスの変化、明るい人生の作り方 まで教われる。内面も外面も確実に変化した!”と好評で、毎回心奪われる講義を 展開している。

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Profile

ミウラナオコ
イラストレーター
茨城県出身、東京在住
1984 ~ 1985 年 N.Y. に留学 シンプルで、親しみやすく、美しい色使いのイラストが特徴。「癒し」のパワーがあり、女性を中心に人気が高い。医療、介護、子育て、 教育に関するメディアでの活躍が目立つ。 愛知県安城更生病院の産科フロア全体の壁画を担当。新生児やママ達の癒 やしの空間となっている。授乳室の太陽の絵を見たママからは「子供が ICU に入ってしまい、不安定で泣いていたが、絵を見て我に返ることができた」 との声も。「『見えないけれど大切なもの』を形にして、ダイレクトに心に届けたい」「絵 から解放感を感じてほしい」「『自分を好き!』と言える人が増えるための絵 を描きたい」「絵という世界共通語を使って、世界の人とコミュニケーション をしたい」そんな思いで、イラストを描き続けている。

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世の中、見ている人は本当に見ている。つまり、誰にも見られていないようで、アナタ たちは常に見られていることを忘れてはいけません。就職試験の面接官、気配り上手 の秘書、はたまた鋭い観察眼をもつ主婦など。声をそろえていうことは「顔を見れば、 その人となりは、なんとなく分かる」と言う。それは、心の中が顔面からあふれ出て いるからでしょう。結論、顔や言動は人間の質が表れている。今までになかった「新 型パーソナル診断書」はあなたの雰囲気や言動を 4 つのグループにまとめた解説書で ある。その人の美しさとは、ズバリ人間性。たまに「自分のことが大好きな人」がいる。 そのような人は顔の作りは関係なく、自分自身を愛しています。自分の性格を理解し て愛しているからなのだ。謙遜ばかりしているそこのアナタ、自分がいちばん好きと自 信を持って言える人間になれるかもしれない、そんな一冊です。著者はこう思う、いま 一度考えてほしい“自分がどう思われているかがいかに大切か”と。

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