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存在とカタチ
TeRuRi
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えんどうまめ
野原を回遊する大きなトンボ。
大空を舞う鷹の爪。
デザインの美は、葉にも宿る。
葉は鳥の羽のように対をなし、
のびゆく蔓(つる)にも、
曲線の美のカタチ。
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カラー
白は、清純の象徴。
穢れなき心の状態を、映す。
その白を見ていると、白銀の雪景色の中に吸い込まれていきそうになる。
白には、さまざまな白がある。
光を通すと、無限にも見える白の色相が浮かび上がり、
白という色の持つ深みが、より一層明らかになる。
白という色は、崇高。
そこには、嘘がない。
誠実な想いが色になって顕われるとき、
それが白になる。
あらゆる邪念を払い、浄化し、
再び真っ新な状態に戻してくれるもの。
幼子のような心に、戻してくれるもの。
だから、私は白が好き。
穢れ多きものだからこそ、より魅かれてしまう。
白は、どこまで白くなれるのだろうか。
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あさがお
バビロンの尖塔。
メソポタミア文明を象徴する、
チグリス・ユーフラテス川のほとり。
現在は、イラクと呼ばれる国にある。
らせん状の貝殻の構造を見て、すぐに連想した。
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ミヤマカラスアゲハとクジャクサボテン
蝶は、空を舞う花。
地上に咲く花の妖精が、飛翔する姿。
だから互いに相手に惹かれあい、美を競い合う。
なぜその個性的なデザインは、生まれてきたのだろうか。
なぜ、そのデザインでなければ、ならないのだろうか。
大きなクジャクサボテンの蕾のデザインと同じく、
神秘のベールに包まれている。
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ダリア
怒髪天―。
つぼみを保護するがく片が、天を衝くように逆立った。
顎をひき、キリリと前方を見据えるその姿は、
不動明王が悪は許さじと、眼を吊り上げ、
まさに魔を折伏せんとするかのように映る。
美しい大輪の花を咲かせる前の出来事。
美には、強さがある。
決して、ただ優しいだけの、弱々しい存在ではない。
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えのき
巨木に成長する榎木も、
若木のときは、枝をZIGZAGに成長させる。
その間隔は、計算され尽くされたような均等をなす。
茂らす葉は左右にシンメトリーを構成し、
パッと両手を広げ、緑の華を咲かせる。
存在の美、ここに極まれり。
Profile
照瑠璃(てるり)。1969年、福岡生まれ。大学卒業後、報道写真業界に従事し、日本国内はもとより、アジア、中東、欧州ならびに北米にて撮影を重ねる。2003年頃から身の回りの風景に感心を寄せ始め、身近な生き物たち、草花などの撮影を始める。カタチが変化する姿を通して洋の東西を超えた普遍的な意味での「存在とは何か」に強い関心を持ち続けている。